ChatGPTを使っていると、文章の添削や相談をするために、名前・勤務先・住所・家族構成などを入力したくなることがあります。
しかし、
- ChatGPTに個人情報を入力しても大丈夫なのか
- 入力した内容が外部に漏れる可能性はないのか
- 会話がAIの学習に使われるのか
- 仕事の資料を貼り付けても問題ないのか
と不安に感じる人も多いのではないでしょうか。
設定によって会話をAIモデルの改善に利用させないことはできます。
ただし、設定を変更したからといって、個人情報や会社の機密情報を自由に入力してよいわけではありません。
ChatGPTに限らず、インターネット上のサービスには、公開されると困る情報をむやみに入力しないことが基本です。
この記事では、ChatGPTに個人情報を入力するリスク、入力を避けたい情報、安全に利用するための設定や注意点を初心者向けに解説します。
- ChatGPTに個人情報を入力してもよいのか
- 入力した会話がどのように扱われるのか
- AIの学習に使われないようにする設定
- Temporary Chatと通常のチャットの違い
- 入力してはいけない情報の具体例
- 仕事や私生活で安全に利用する方法
- ChatGPTに個人情報を入力しても大丈夫?
- ChatGPTに入力した情報はどのように扱われる?
- モデルの改善への利用をオフにすれば安全?
- Temporary Chatなら個人情報を入力してもよい?
- 個人向けプランと法人向けプランでは扱いが異なる
- ここまでのポイント
- ChatGPTに入力しない方がよい個人情報
- 他人の個人情報も入力しない方がよい
- 会社の機密情報や顧客情報も入力しない
- 入力前に個人情報を匿名化する方法
- 画像やファイルをアップロードするときの注意点
- ChatGPTの共有リンクにも注意する
- カスタムGPTや外部サービスとの連携にも注意
- 入力前に確認したいチェックリスト
- 入力してよい情報と避けたい情報の比較
- 第2回のまとめ
- ChatGPTを安全に使うために確認したい設定
- ChatGPTを安全に使うための7つの注意点
- 個人情報を入力してしまったときの対処法
- ChatGPTの個人情報に関するよくある質問
- ChatGPTは危険なサービスなのか
- まとめ|ChatGPTには公開されると困る情報を入力しない
ChatGPTに個人情報を入力しても大丈夫?
ChatGPTに個人情報を入力したからといって、ただちにインターネット上へ一般公開されるわけではありません。
しかし、個人を特定できる情報や、第三者に知られると困る情報は入力しないことをおすすめします。
OpenAIは、ユーザーが会話内容の利用方法を選択できる「データコントロール」を提供しています。
ユーザーは設定画面から、会話をモデルの改善に利用するかどうかを変更できます。
一方で、OpenAIの公式説明でも、ユーザーが提供した内容は、利用しているサービスや設定に応じて処理・保存される場合があることが示されています。
個人情報を入力すること自体が禁止されているわけではない
ChatGPTでは、名前や趣味、生活状況などを入力して相談することもできます。
たとえば、次のような使い方です。
- 自分の経歴をもとに自己紹介文を作る
- 家族構成を伝えて旅行プランを考えてもらう
- 年齢や職業を伝えて学習方法を相談する
- 自分宛てのメールを添削してもらう
このような使い方が直ちに問題になるとは限りません。
ただし、氏名・住所・電話番号などを組み合わせると、個人を特定できる可能性が高まります。
相談に不要な情報まで入力するのではなく、回答を得るために必要な範囲まで情報を減らすことが大切です。
入力例
避けたい入力:
東京都〇〇区〇〇1丁目に住む、株式会社〇〇勤務の山田太郎です。
安全性に配慮した入力:
東京都内で働く20代の会社員です。
相談の目的を達成できるのであれば、実名や正確な住所、会社名まで入力する必要はありません。
ChatGPTに入力した情報はどのように扱われる?
ChatGPTへ入力した文章、画像、ファイルなどの扱いは、利用しているプランや設定によって異なります。
特に確認しておきたいのは、次の3点です。
- 会話履歴として保存されるか
- モデルの改善に利用されるか
- メモリに情報が保存されるか
個人向けChatGPTでは会話がモデル改善に使われる場合がある
ChatGPTのFree・Plus・Proなど、個人向けサービスでは、設定によって会話内容がモデルの改善に利用される場合があります。
対象には、入力した質問だけでなく、ChatGPTからの回答、アップロードした画像やファイルなどが含まれる場合があります。
ただし、ユーザーはデータコントロールから、会話をモデルの改善に利用しないよう設定できます。
通常のチャットは履歴に残る
通常のチャットで行った会話は、基本的にChatGPTの履歴に表示されます。
履歴から過去の会話を開けば、入力した文章やChatGPTの回答を再確認できます。
便利な機能ですが、スマートフォンやパソコンを他人と共有している場合は、履歴から会話内容を見られる可能性があります。
共用端末で利用するときは、ログアウトや端末の画面ロックなども忘れないようにしましょう。
メモリ機能が有効だと情報を記憶する場合がある
ChatGPTには、ユーザーの好みや過去に伝えた情報を今後の回答へ反映する「メモリ」機能があります。
メモリ機能を利用すると、毎回同じ条件を説明しなくても、自分に合った回答を受けやすくなります。
一方で、自分が以前に伝えた情報が、別の会話でも参照される場合があります。
メモリは設定から確認・削除・停止できます。
モデルの改善への利用をオフにすれば安全?
モデルの改善への利用をオフにすることは、プライバシー対策の一つとして有効です。
ただし、設定をオフにすれば、どのような情報でも安心して入力できるわけではありません。
データをモデルの改善に利用しない設定は、入力した内容をAIの学習に使わせないための設定です。
通信自体を行わない設定や、入力した情報を自分の端末内だけで処理する設定ではありません。
| 設定・機能 | 主な役割 | 注意点 |
|---|---|---|
| モデル改善への利用をオフ | 新しい会話をモデル改善に利用させない | 個人情報を入力してよいという意味ではない |
| チャット履歴の削除 | アカウントの履歴から会話を削除する | 保存済みメモリは別途削除が必要な場合がある |
| メモリをオフ | 過去の情報を今後の回答で参照させない | 過去に保存されたメモリの削除も確認する |
| Temporary Chat | 履歴やメモリを残さず会話する | 安全対策のため一定期間保持される場合がある |
Temporary Chatなら個人情報を入力してもよい?
Temporary Chatは、一時的な会話を行うための機能です。
Temporary Chatで行った会話には、主に次の特徴があります。
- チャット履歴に表示されない
- メモリを作成・更新しない
- モデルの改善に利用されない
通常のチャットよりも履歴や学習への利用を抑えられるため、一時的な相談に適しています。
ただし、OpenAIの公式説明では、Temporary Chatの会話も安全上の目的で最大30日間保持される場合があるとされています。
また、外部サービスと連携するGPTやアプリを利用した場合、送信先の第三者が独自のプライバシーポリシーに基づいて情報を扱う可能性があります。
個人向けプランと法人向けプランでは扱いが異なる
ChatGPTでは、個人向けサービスと法人・教育機関向けサービスで、データの取り扱いが異なります。
OpenAIは、ChatGPT Business、ChatGPT Enterprise、ChatGPT Edu、APIなどのビジネス向けサービスについて、入力・出力データを標準ではモデルの学習に利用しないと説明しています。
ただし、法人向けサービスを利用している場合でも、社内規則や契約上の制限を無視してよいわけではありません。
企業によっては、生成AIへ入力できる情報を独自に定めています。
仕事で利用する前に確認したいこと
- 会社がChatGPTの利用を許可しているか
- 個人向けアカウントを業務に使用してよいか
- 顧客情報や社内資料の入力が禁止されていないか
- 会社指定の法人向けアカウントがあるか
- 生成AIに関する社内ガイドラインがあるか
法人向けプランだから絶対に安全と考えるのではなく、サービスの設定と会社の情報管理ルールの両方を確認することが重要です。
ここまでのポイント
次の章では、ChatGPTへ入力しない方がよい個人情報を、具体例とともに詳しく解説します。
参考にした公式情報
- OpenAI「データコントロールに関するFAQ」
- OpenAI「Temporary Chat FAQ」
- OpenAI「プライバシーポリシー」
- OpenAI「モデルのパフォーマンス向上におけるデータの使用」
- OpenAI「Enterprise Privacy」
ChatGPTに入力しない方がよい個人情報
ChatGPTを安全に利用するためには、入力する情報を自分で選別することが重要です。
特に、本人確認、不正アクセス、金銭被害、プライバシー侵害につながる可能性がある情報は入力しないようにしましょう。
ここからは、ChatGPTへの入力を避けたい情報を具体的に解説します。
氏名・住所・電話番号
氏名、住所、電話番号は、個人を特定するために使われる代表的な情報です。
単独では本人を特定できない場合でも、複数の情報を組み合わせることで、誰の情報なのか判断できる可能性があります。
- 氏名と勤務先
- 氏名と居住地域
- 住所と家族構成
- 電話番号と利用サービス
- 生年月日と出身校
文章の添削や相談をするだけであれば、実名や正確な住所まで入力する必要はほとんどありません。
置き換え例
山田太郎 → Aさん
東京都新宿区〇〇1丁目2番3号 → 東京都内
株式会社〇〇 → 勤務先・A社
090-1234-5678 → 電話番号部分を削除
マイナンバーや本人確認書類の情報
マイナンバー、運転免許証、パスポート、健康保険証などに記載された情報は、ChatGPTへ入力しないようにしましょう。
番号を直接入力するだけでなく、本人確認書類を撮影した画像やスキャンデータをアップロードすることも避ける必要があります。
- マイナンバー
- 運転免許証番号
- パスポート番号
- 在留カード番号
- 健康保険証の記号・番号
- 本人確認書類の画像
パスワード・認証コード・秘密の質問
ログインに使用するパスワードや認証コードは、ChatGPTに限らず第三者へ渡してはいけない情報です。
「安全なパスワードか確認してほしい」という目的でも、現在使用しているパスワードをそのまま入力するのは避けましょう。
- Webサービスのパスワード
- スマートフォンやパソコンの暗証番号
- ワンタイムパスワード
- SMSで届いた認証コード
- 秘密の質問と回答
- APIキーやアクセストークン
- 復旧用コード
クレジットカード・銀行口座に関する情報
クレジットカード番号や銀行口座情報など、金銭に関係する重要情報も入力してはいけません。
- クレジットカード番号
- カードの有効期限
- セキュリティコード
- 銀行名・支店名・口座番号の組み合わせ
- インターネットバンキングのログイン情報
- 証券口座のログイン情報
- 暗号資産ウォレットの秘密鍵やシードフレーズ
利用明細や請求書を分析してもらう場合は、カード番号、口座番号、氏名、住所、会員番号などを削除してから入力しましょう。
病歴や健康状態に関する詳しい情報
ChatGPTへ健康相談をすることはできますが、氏名や病院名、診察券番号など、本人を特定できる情報は入力しない方が安全です。
また、ChatGPTの回答は医師による診断ではありません。
症状について相談する場合は、個人を特定できる情報を省き、一般的な状況として質問しましょう。
入力例
避けたい入力:
〇〇病院へ通院している山田太郎です。診察券番号は123456で、住所は東京都〇〇区です。
安全性に配慮した入力:
20代男性です。数日前から喉の痛みがあります。一般的に考えられる原因と、受診を検討する目安を教えてください。
緊急性の高い症状や強い痛みがある場合は、ChatGPTの回答だけで判断せず、医療機関や適切な相談窓口へ連絡してください。
子どもや家族の個人情報
自分の情報だけでなく、子ども、配偶者、両親、友人などの個人情報にも注意が必要です。
特に子どもの情報は、本人が情報の提供に同意しているか判断しにくい場合があります。
- 子どもの氏名や顔写真
- 学校名や学年、クラス
- 通学経路や習い事の場所
- 家族の勤務先
- 家族の病歴や健康状態
- 友人の連絡先
自分が入力してよいと判断しても、情報の本人が同じ考えとは限りません。
第三者の情報を使って相談する場合は、名前や所属先を伏せ、個人を特定できない形へ変更しましょう。
他人の個人情報も入力しない方がよい
ChatGPTを利用するときに注意したいのは、自分の個人情報だけではありません。
メールの添削、議事録の要約、顧客対応文の作成などでは、他人の個人情報を無意識に入力してしまうことがあります。
たとえば、次のような場面です。
- 取引先から届いたメールをそのまま貼り付ける
- 参加者の実名が入った議事録を要約させる
- 顧客リストを表のままアップロードする
- 友人とのメッセージをそのまま入力する
- 応募者の履歴書を評価させる
- 学校の名簿や連絡網を整理させる
メールを添削するときは署名部分を削除する
メールには、本文以外にも多くの個人情報が含まれている場合があります。
- 送信者と受信者の氏名
- メールアドレス
- 電話番号
- 会社名や部署名
- 会社の住所
- 会議URL
- 社内システムへのリンク
- メールの署名
メールを添削してもらう場合は、本文だけを抜き出し、固有名詞を置き換えてから入力しましょう。
メールの匿名化例
株式会社ABCの田中様 → 取引先の担当者様
新宿支店の売上 → 対象拠点の売上
〇〇システム導入案件 → 新システム導入案件
具体的な顧客名 → A社・B社
会社の機密情報や顧客情報も入力しない
業務でChatGPTを利用する場合は、個人情報に加えて、会社の機密情報にも注意が必要です。
機密情報には、社外秘と明記された資料だけでなく、一般公開されていない業務上の情報も含まれる場合があります。
- 顧客名簿や顧客の連絡先
- 未公開の売上や経営情報
- 社内会議の議事録
- 製品やサービスの未公開情報
- 契約書や見積書
- 採用応募者の履歴書
- システムのIDやパスワード
- ソースコード内の認証情報
- 社外秘の業務マニュアル
- 公開前のプレスリリース
ChatGPT BusinessやEnterpriseなどでは、業務データを標準ではモデルの学習に利用しない仕組みが用意されています。
ただし、法人向け環境を利用していても、会社が入力を許可している情報の範囲を確認する必要があります。
入力前に個人情報を匿名化する方法
ChatGPTを利用するために、必ずしも文章の細かい情報をすべて入力する必要はありません。
回答に必要のない個人情報を削除したり、別の表現へ置き換えたりすることで、安全性を高められます。
このように、個人を特定しにくい形へ変更することを、一般的に匿名化やマスキングと呼びます。
固有名詞を記号や仮名へ置き換える
氏名、会社名、学校名、商品名、案件名などは、内容を理解できる範囲で置き換えましょう。
| 元の情報 | 置き換え例 |
|---|---|
| 山田太郎 | Aさん・担当者 |
| 株式会社〇〇 | A社・勤務先 |
| 〇〇小学校 | 学校・公立小学校 |
| 〇〇病院 | 医療機関 |
| 〇〇プロジェクト | 新規プロジェクト |
| 東京都新宿区 | 東京都内・都市部 |
正確な数字を範囲へ変更する
年齢、年収、売上、契約金額、利用者数などは、正確な数字を伝えなくても回答できる場合があります。
- 29歳 → 20代
- 年収642万円 → 年収600万円台
- 売上1億2,350万円 → 売上約1億円
- 従業員127人 → 従業員100人規模
- 契約金額387万円 → 数百万円
ただし、税金や計算など、正確な数値が必要な相談では、個人を特定できる情報と組み合わせないように注意しましょう。
文章の一部分だけを入力する
書類全体をアップロードするのではなく、確認してほしい部分だけを抜き出す方法も有効です。
- メールは本文だけを入力する
- 契約書は確認したい条文だけを入力する
- 議事録は要約したい議題だけを入力する
- 表は必要な列だけを残す
- 画像は必要な箇所だけを切り取る
画像やファイルをアップロードするときの注意点
ChatGPTでは、文章だけでなく、画像、PDF、表計算ファイルなどをアップロードして内容を確認できます。
便利な機能ですが、ファイル内に個人情報が含まれていないか、アップロード前に確認することが重要です。
画面の隅や背景に個人情報が写っていないか確認する
画像やスクリーンショットには、意図していない情報が写り込むことがあります。
- 画面上部に表示された氏名
- 通知に表示されたメッセージ
- ブラウザのお気に入りや履歴
- メールアドレス
- 会員番号や注文番号
- 自宅や勤務先がわかる背景
- 人物の顔や車のナンバー
スクリーンショットを利用する場合は、必要な部分だけを切り取り、不要な部分を塗りつぶしてからアップロードしましょう。
PDFや表計算ファイルは全ページを確認する
PDFやExcelなどのファイルには、表示しているページ以外にも個人情報が残っている場合があります。
- 別ページに記載された氏名や住所
- 非表示にした行や列
- 別シートに残った顧客情報
- コメントや注釈
- ファイル名に含まれた氏名
- 作成者などのファイル情報
ChatGPTの共有リンクにも注意する
ChatGPTには、会話内容をURLで共有できる共有リンク機能があります。
共有リンクを作成すると、そのリンクを知っている人が、共有対象の会話を閲覧できる場合があります。
会話内に個人情報や社内情報が含まれている場合は、共有リンクを作成しないようにしましょう。
過去に作成した共有リンクは、ChatGPTの設定画面にあるデータコントロールから確認・管理できる場合があります。
不要になった共有リンクがある場合は、削除や無効化を検討しましょう。
カスタムGPTや外部サービスとの連携にも注意
ChatGPTでは、特定の目的に合わせて作られたGPTや、外部サービスと連携する機能を利用できる場合があります。
外部サービスへ情報が送信される機能を利用した場合、その情報は送信先のサービスが定めるプライバシーポリシーに従って扱われる可能性があります。
利用前には、次の点を確認しましょう。
- 誰が提供しているGPTやアプリなのか
- 外部サービスへ情報を送信する機能があるか
- どのような情報へのアクセスを求められるか
- 提供元のプライバシーポリシーを確認できるか
- 個人情報や機密情報を入力する必要があるか
入力前に確認したいチェックリスト
ChatGPTへ文章やファイルを送信する前に、以下の項目を確認しましょう。
- 氏名や住所が含まれていないか
- 電話番号やメールアドレスが含まれていないか
- パスワードや認証コードが含まれていないか
- カード番号や口座番号が含まれていないか
- 本人確認書類の番号が含まれていないか
- 会社や顧客の機密情報が含まれていないか
- 第三者の個人情報が含まれていないか
- 画像の背景や通知に情報が写っていないか
- ファイル名や別シートに情報が残っていないか
- より少ない情報で同じ質問ができないか
すべて確認するのが難しい場合は、実名、正確な数値、固有名詞を削除してから入力するだけでもリスクを減らせます。
入力してよい情報と避けたい情報の比較
| 相談内容 | 比較的入力しやすい情報 | 避けたい情報 |
|---|---|---|
| 文章の添削 | 匿名化した本文 | 氏名・メールアドレス・署名 |
| 転職相談 | 年代・職種・経験年数 | 実名・勤務先・応募先の非公開情報 |
| 家計相談 | おおよその収入・支出 | 口座番号・カード番号・ログイン情報 |
| 健康相談 | 年代・症状・経過 | 診察券番号・氏名・住所 |
| 旅行相談 | 出発地域・人数・予算 | 自宅住所・予約番号・パスポート情報 |
| 業務効率化 | 一般化した業務内容 | 顧客情報・社外秘資料・認証情報 |
第2回のまとめ
ChatGPTを安全に使うには、すべての機能を避けるのではなく、質問に必要な情報と不要な情報を分けることが大切です。
次の章では、データコントロール、メモリ、Temporary Chat、共有リンクなどの設定方法と、ChatGPTを安全に使うための実践的な対策を解説します。
参考にした公式情報
- OpenAI「Memory FAQ」
- OpenAI「Temporary Chat FAQ」
- OpenAI「ChatGPT Shared Links FAQ」
- OpenAI「Data Controls FAQ」
- OpenAI「Privacy Policy」
ChatGPTを安全に使うために確認したい設定
ChatGPTへ入力する情報を減らすことに加えて、プライバシーに関する設定を確認しておくことも大切です。
主に確認したいのは、次の4項目です。
- モデル改善へのデータ利用
- メモリ機能
- チャット履歴
- 共有リンク
設定画面の名称や配置は、アプリやWeb版の更新によって変わることがあります。
見つからない場合は、ChatGPTのプロフィールアイコンから「設定」を開き、データコントロールやパーソナライズに関する項目を確認してください。
「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにする
個人向けのChatGPTでは、設定によって、入力した会話がモデルの改善に利用される場合があります。
会話をモデルの改善に利用されたくない場合は、データコントロールから設定を変更できます。
設定の確認手順
- ChatGPTを開く
- プロフィールアイコンまたはメニューを開く
- 「設定」を選ぶ
- 「データコントロール」を開く
- 「すべての人のためにモデルを改善する」を確認する
- モデル改善への利用を希望しない場合はオフにする
この設定をオフにすると、変更後に作成した新しい会話は、原則としてモデルのトレーニングに使用されません。
会話は引き続きチャット履歴へ表示されるため、履歴を残したまま、モデル改善への利用だけを停止できます。
メモリ機能に保存された情報を確認する
ChatGPTのメモリ機能は、名前、好み、目標、仕事、生活状況などを記憶し、今後の回答へ反映するための機能です。
便利な一方で、過去に伝えた情報が別の会話で参照されることがあります。
記憶された内容を確認したい場合は、ChatGPTに「私について何を覚えていますか?」と質問する方法があります。
設定画面から、個別のメモリを削除したり、保存済みメモリをすべて削除したりすることもできます。
メモリ設定の確認手順
- ChatGPTの「設定」を開く
- 「パーソナライズ」を選ぶ
- メモリに関する項目を確認する
- 不要な保存済みメモリを削除する
- 必要に応じてメモリ機能をオフにする
プランや利用環境によっては、保存済みメモリと過去のチャット履歴を参照する機能が、別々の項目として表示される場合があります。
必要に応じてTemporary Chatを利用する
履歴やメモリへ残したくない一時的な相談には、Temporary Chatが役立ちます。
日本語の画面では「一時チャット」や「一時」と表示される場合があります。
- チャット履歴に表示されない
- 会話内容からメモリを作成しない
- 既存のメモリを参照しない
- モデルの改善に利用されない
ただし、安全上の目的で会話のコピーが最大30日間保持される場合があります。
そのため、一時チャットであっても、重要な個人情報や機密情報を入力することは避けてください。
過去に作成した共有リンクを確認する
ChatGPTの共有リンクを作成したことがある場合は、不要なリンクが残っていないか確認しましょう。
共有リンクは、URLを知っている人が会話内容を閲覧できる可能性があります。
作成時には問題がないと思っていても、会話の前半に氏名や勤務先などが含まれていることがあります。
- 共有する範囲に個人情報が含まれていないか
- 社内情報や顧客情報が含まれていないか
- リンクを受け取った相手から転送されても問題ないか
- 不要になった共有リンクが残っていないか
共有する必要がなくなったリンクは、設定画面のデータコントロールなどから削除を検討しましょう。
ChatGPTを安全に使うための7つの注意点
ChatGPTを安全に使うために、特別な知識が必ずしも必要なわけではありません。
次の基本ルールを意識するだけでも、個人情報を入力するリスクを減らせます。
1.回答に必要な情報だけを入力する
最も重要なのは、質問に必要のない情報を入力しないことです。
たとえば、転職相談であれば、年齢層、職種、経験年数、希望条件などがあれば、一定の回答を得られます。
実名、正確な住所、現在の会社名、応募先企業の担当者名まで伝える必要はありません。
2.実名や固有名詞を仮名へ置き換える
氏名、会社名、学校名、病院名、案件名などは、Aさん、B社、勤務先などへ置き換えましょう。
固有名詞を変更しても、人物や会社の関係性がわかれば、文章の添削や相談は可能です。
| 入力前の表現 | 置き換え後 |
|---|---|
| 山田太郎部長 | 上司・Aさん |
| 株式会社〇〇 | 勤務先・A社 |
| 〇〇株式会社の田中様 | 取引先の担当者 |
| 東京都渋谷区〇〇 | 東京都内 |
| 〇〇病院 | 医療機関 |
3.画像やファイルは送信前に見直す
画像やファイルは、文章よりも多くの情報を含んでいる場合があります。
本文だけでなく、ファイル名、別ページ、別シート、コメント、画像の背景なども確認してください。
- 氏名や顔写真を削除したか
- 住所や電話番号を削除したか
- メールアドレスを削除したか
- 会員番号や顧客番号を削除したか
- QRコードやバーコードを隠したか
- ファイル名に実名が含まれていないか
- 非表示の行や別シートに情報が残っていないか
- 通知や背景に個人情報が写っていないか
4.パスワードや認証情報は絶対に入力しない
ChatGPTへパスワードの作り方を相談することはできますが、現在使用しているパスワードを入力してはいけません。
パスワード以外にも、次の情報は入力しないでください。
- SMSやメールで届いた認証コード
- ワンタイムパスワード
- 復旧用コード
- APIキー
- アクセストークン
- 暗号資産の秘密鍵
- ウォレットのシードフレーズ
5.仕事では会社のルールを優先する
業務でChatGPTを使う場合は、自分の判断だけで資料を入力しないようにしましょう。
会社が生成AIの利用を許可していても、入力できる情報には制限が設けられている場合があります。
- 利用を許可されたAIサービスか
- 会社指定のアカウントを使っているか
- 顧客情報の入力が禁止されていないか
- 社外秘資料を扱える契約になっているか
- 上司や情報システム部門への確認が必要か
ChatGPT Business、Enterprise、Edu、APIなどのビジネス向けサービスでは、ビジネスデータが標準でモデルの学習に使われないと案内されています。
ただし、法人向けサービスであっても、社内規則、秘密保持契約、個人情報保護に関するルールを守る必要があります。
6.共用端末ではログイン状態を残さない
家族や職場の人とパソコンやタブレットを共有している場合は、チャット履歴を見られる可能性があります。
- 利用後にChatGPTからログアウトする
- 端末に画面ロックを設定する
- ブラウザへパスワードを保存しない
- 共有端末で重要な相談をしない
- 画面を開いたまま端末を離れない
ChatGPT側のセキュリティだけでなく、利用する端末の管理も重要です。
7.回答をそのまま信用しない
個人情報の扱いとは別に、ChatGPTの回答が常に正しいとは限らない点にも注意が必要です。
ChatGPTは、事実と異なる内容や、古い情報を含む回答を生成することがあります。
特に次の分野では、ChatGPTの回答だけで重要な判断をしないようにしましょう。
- 病気や薬に関する判断
- 税金や法律に関する判断
- 投資や金融商品の判断
- 契約内容の判断
- 緊急性があるトラブルへの対応
公的機関、専門家、契約書、公式サイトなどの情報も確認することが大切です。
個人情報を入力してしまったときの対処法
誤って個人情報を入力してしまった場合は、情報の種類に応じて対応しましょう。
チャットを削除するだけでなく、パスワードの変更やカード会社への連絡が必要になる場合もあります。
| 入力した情報 | 主な対応 |
|---|---|
| 氏名・住所・電話番号 | チャットと保存済みメモリを確認し、不要な情報を削除する |
| パスワード | 対象サービスのパスワードを直ちに変更する |
| 認証コード | 利用状況を確認し、必要に応じてパスワードや認証設定を変更する |
| APIキー | キーを無効化し、新しいキーを発行する |
| クレジットカード情報 | カード会社へ相談し、利用明細を確認する |
| 会社の機密情報 | 上司や情報管理部門へ速やかに報告する |
| 第三者の個人情報 | 会話を削除し、必要に応じて所属組織の担当者へ相談する |
チャットを削除する
入力した会話が不要な場合は、チャット履歴から削除できます。
ただし、削除操作を行った直後に、すべてのシステムから瞬時に消去されるとは限りません。
OpenAIのプライバシーポリシーでは、削除された個人データは、法令上または安全上の理由などがある場合を除き、通常は一定期間内にシステムから削除されると説明されています。
保存済みメモリも確認する
入力した情報がメモリへ保存されている場合は、チャットだけでなく保存済みメモリも削除しましょう。
メモリをオフにするだけでは、過去に保存されたメモリが自動的にすべて消えるとは限りません。
設定画面のメモリ管理から、保存内容を個別に確認してください。
認証情報は変更・無効化する
パスワードやAPIキーなどを入力してしまった場合は、会話を削除するだけでは不十分です。
すでに情報が知られた可能性があるものとして、直ちに変更または無効化しましょう。
ChatGPTの個人情報に関するよくある質問
ChatGPTに本名を入力すると危険ですか?
本名を入力しただけで、直ちに被害が発生するとは限りません。
ただし、本名に住所、勤務先、電話番号、生年月日などを組み合わせると、個人を特定できる可能性が高まります。
本名が回答に必要でなければ、「Aさん」「相談者」などへ置き換える方が安全です。
ChatGPTに住所を入力しても大丈夫ですか?
自宅の正確な住所は、原則として入力しない方がよいでしょう。
旅行、引っ越し、店舗検索などの相談では、都道府県、市区町村、最寄り駅など、目的を達成できる範囲まで情報を減らしてください。
「東京都内」「新宿駅周辺」のような情報で足りる場合は、番地や建物名まで入力する必要はありません。
ChatGPTに電話番号やメールアドレスを入力してもよいですか?
文章の添削などに必要でなければ、入力しないことをおすすめします。
メールを貼り付ける場合は、送信者、受信者、署名欄に含まれる連絡先を削除しましょう。
履歴を削除すれば入力した情報は完全に消えますか?
チャットを削除すると、自分の履歴一覧からは表示されなくなります。
ただし、システム上の削除処理には一定期間かかる場合があり、法令、安全、不正利用防止などの理由で保持される場合もあります。
また、会話から保存済みメモリが作成されている場合は、メモリも別途削除する必要があります。
モデル改善への利用をオフにすれば個人情報を入力してもよいですか?
いいえ。
モデル改善への利用をオフにすることは有効なプライバシー対策ですが、入力した情報が端末内だけで処理されるという意味ではありません。
重要な個人情報や機密情報は、設定にかかわらず入力しないようにしましょう。
Temporary Chatなら完全に秘密ですか?
完全に情報が保存されない秘密モードではありません。
一時チャットは履歴に表示されず、モデル改善にも利用されませんが、安全上の目的でコピーが最大30日間保持される場合があります。
外部サービスと連携するGPTを使用した場合は、送信先のプライバシーポリシーも適用される可能性があります。
ChatGPTに履歴書を添削してもらっても大丈夫ですか?
履歴書を添削してもらうことはできますが、個人情報を削除してから利用する方が安全です。
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
- 顔写真
- 生年月日の詳細
- 学校や会社を特定できる不要な情報
経歴の添削が目的であれば、実名や連絡先は必要ありません。
確定申告や家計の相談に使えますか?
一般的な制度の説明、支出の整理、計算方法の確認などには利用できます。
ただし、銀行口座番号、カード番号、マイナンバー、ログイン情報などは入力しないでください。
税務上の最終判断は、国税庁などの公的情報や税理士への確認が必要です。
会社の資料を要約させてもよいですか?
会社の利用規則と、使用しているChatGPTの契約内容によって異なります。
個人向けアカウントへ、顧客情報や社外秘資料を自己判断で貼り付けることは避けましょう。
会社が指定した法人向け環境がある場合は、その環境と社内ルールに従ってください。
ChatGPTは危険なサービスなのか
ChatGPTに個人情報を入力する際の注意点があるからといって、ChatGPTそのものが一律に危険なサービスというわけではありません。
ChatGPTには、モデル改善への利用を管理するデータコントロール、メモリの管理、一時チャット、履歴削除などの機能があります。
一方で、利用者が入力する情報を適切に管理しなければ、プライバシーや情報管理上の問題につながる可能性があります。
ChatGPTを使わないことではなく、入力する情報を選び、設定と利用目的に合った使い方をすることが重要です。
これはChatGPTに限らず、クラウドストレージ、メール、SNS、オンライン翻訳などのサービスにも共通します。
インターネットへ送信する情報は、必要最低限に抑える習慣を持ちましょう。
まとめ|ChatGPTには公開されると困る情報を入力しない
ChatGPTには、プライバシーやデータ利用を管理するための設定が用意されています。
しかし、どのような設定を使用していても、重要な個人情報や機密情報を自由に入力してよいわけではありません。
「この情報が第三者に知られても困らないか」「本当に回答に必要な情報か」を入力前に確認することが、最も基本的な対策です。
氏名や会社名は仮名へ置き換え、正確な住所や金額は必要に応じて範囲へ変更しましょう。
ChatGPTの機能と注意点を理解したうえで利用すれば、文章作成、学習、情報整理、アイデア出しなど、さまざまな場面で役立てられます。

